身勝手なキャッチボール。その現場。
言葉は力。人を信じるのも裏切るのも、癒すのも傷つけるのも言葉はできてしまう。その言葉をできる限り正の方向で使いたい。愛するもの全てのために。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |

妄想夜話 第4話

この話、次から次へ思い浮かぶよ。
ああ、笑ってやってくれ。せせら笑いでも苦笑いでもなんでもいいから。




「妄想夜話」





第4話 改心


朝、電車に乗る。
満員電車の中、老人の横に立つ。
狭い。
息が詰まる。
しかし、そこが俺の仕事場だった。


人目の付きにくい場所で
かばんに手を伸ばし
財布を頂戴する。
今日も隣のばあさんから
財布を盗んだ。
中身は5000円。
・・・くそったれ。


中学の頃に親父が死んだ。
母親は俺を高校に上げるまでが精一杯で
過労でぶっ倒れた。
それからの俺はコンビニのチンピラに混ざって
万引き、引ったくり、窃盗。


そんな生活がいやになってグループを抜けた。
ぼこられた。
360度から襲われる恐怖。
気が付いたら朝だった。
ふらつきながら
家に転がり込んだ。


こんな俺にも恋人がいる。
そいつは俺に包帯を巻いて病院に連れて行ってくれた。
意外とダメージはないらしい。
一週間もすると普通に動けるようになった。
あいつは何も聞かなかった。
「信じてる」
とその目が言っていた。


それでも
俺に出来ることは盗みだった。
それ以外のことを学んでこなかったから。


ある日、いつものように電車に乗った。
いつものように老人に近づく。
突如、電車が揺れた。
老人がよろける。
とっさに俺はその老婆を支えていた。
「ああ、ありがとうね」
老婆は言った。
俺は、はっとした。
「笑顔は人が使える魔法の一つよ」
母さんが目の下にクマを作りながら
俺に笑顔で言ったんだ。
その笑顔がそこにあった。


俺は盗みをやめた。
それからは真面目にバイトをしながら
『普通の』生活をしている。
恋人が幸せそうに俺の横で眠っている。
いつも信じてくれていたその瞳に
笑顔で迎えてくれたその姿に
どれだけ救われただろう。


もう盗みはしない。
これで『スリ』は廃業。
これからは隣で寝ているこいつと
困っている奴らの『手すり』にでもなれたらとか思う。
そうすりゃ、こんな俺でも笑顔が見れるんじゃねぇかな。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
今日のどうでもいい話
スリは漢字で「掏り」と書きます。「すりかえる」という時はこの漢字です。話をすりあわせるは「摺り合わせる」です。同じ音でも違う意味、違う漢字。日本語は奥が深いですね。(byくべ)
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

PROFILE

くべ
  • Author:くべ
  • 私の名前はくべ。石井竜也よりも横山剣よりもデーモン小暮よりも斬新でクリエイティブな人間になりたい。
  • RSS
  • 05 | 2017/06 | 07
    S M T W T F S
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 29 30 -

    RECENT ENTRIES

    RECENT COMMENTS

  • くべ(02/06)
  • erika(02/05)
  • くべ(02/04)
  • 鈴木(02/04)
  • うめ(08/31)
  • たら(06/26)
  • (06/14)
  • RECENT TRACKBACKS

    ARCHIVES

    CATEGORY

    LINKS

    SEARCH

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。